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図4−2共鳴エネルギー移動

一般に分子jから分子kへの励起エネルギーの移動頻度は、媒質の屈折率や分子jの励起状態の寿命、さらには分子間の距離、分子のけい光スペクトル分布の重なりなどにより定まる。クロロフィルを例にとり計算すると、R=数nm〜十数nmでも移動頻度はある一定の値を持つので、十分にエネルギー移動が起こっていることがわかる。しかしながら、単純な共鳴エネルギー移動では、それぞれの分子は、数μ秒のオーダーしか寿命がないために光エネルギーを一定範囲のなかにある反応中心付近に時間的にトラップすることはできない。これを克服するために、図4−3に示すようなリング錯体のなかで励起状態を保持する仕組みで、空間的、時間的に励起エネルギーをトラップしている。

 

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図4−3アンテナクロロフィルによる光励起エネルギーのトラップ(W.Kuhlbrandt,1995)

 

 

 

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